1,おもちゃ花火の基礎知識
(知っていましたか?)


1,おもちゃ花火の火薬量

 おもちゃ花火(玩具煙火)は、「火薬類取締法」という法律で規格が定められています。また、26種類別に商品1個当たりの火薬の量が決められ、手持ちのススキ、噴出物に関しては15g以下、スパーク類は10g以下、打ち上がる物については10g以下、乱玉は15g以下、ロケットは2g以下、など決められています。これを越えるものはすべて「煙火」に属し、大きな花火大会と同じように消費の時は届け出とか許可が必要になります。体積的にみると15gはだいたい乾電池の単1ぐらい、10gは単2ぐらいです。その範囲内でいろいろな種類のおもちゃ花火を作っているのです。


2,おもちゃ花火の検査

 おもちゃ花火にも協会規格(自主規制)がありまして、それに合格しているかどうか検査する場所が日本煙火協会内に設置されています。消費者の方々に安心して遊んでいただける物を提供するために輸入品、国産品を問わず検査を行っています。中には「危険性を含んでいるだろう」という理由で製造中止にした物や、輸入禁止にした物もあります。規格に合格した物(おもちゃ花火としてふさわしい物)には、SFマークという物が与えられます。商品の規格表示の中についていますのでよく確認してください。


3,花火の原料

 花火は火薬が原料ですので、その性質についてご説明いたします。火薬は、大まかに発火する物と爆発する物に分かれます。特に、ロケットや爆竹はどちらかといえば爆薬としての性格が強い物です。ですから商品に使用できる火薬量も少なくしてあるわけです。おもちゃ花火の大部分は昔ながらの黒色火薬をベースにした硝酸塩を主とする火薬です。ドラゴンもほとんどこれに似たものです。黒色火薬は比較的物理的に安定していて、長い期間化学的変化の少ない火薬です。しかしこの中の成分の硝酸塩は湿気に弱いので凝固防止剤が入っています。色を出す火薬はほとんどが過塩素酸塩を主とするものが使われ黒色火薬よりも威力が強い火薬です。


4,花火の色

 花火の色についてご説明いたします。花火の色は炎色反応を利用したもので、明治時代に外国から入ってきたいろいろな薬品を使うようになって発展してきたものです。色を出す原料は赤がストロンチウム、緑がバリウム、青が銅、黄色がナトリウム、紫やピンクが銅とストロンチウムの混合物、銀色がアルミニウムです。アルミニウム以外はそれぞれの化合物を使用しています。ほかに火の粉としてマグナリウム(アルミニウムとマグネシウムの合金)、チタニウムも使われています。ドラゴンシリーズの火の粉剤はアルミニウムが主体ですが、マグナリウムやチタニウムの合金も使っています。どれがそれなのか分かればプロです。ここ数年、色を鮮やかに見せるために塩化ゴムを混入したり、光度を増すために色火剤の中に微粉のマグナリウムやチタニウムを入れるようになってきました。


5,おもちゃ花火の寿命

 よく「花火がしける」といいますが、湿気をすって火が付かなくなることと、金属粉が酸化して火花が咲かないことの二通りがあります。どちらも花火本来の現象が出ません。湿気を吸うとたいてい粉薬は堅くなり、固めてあるものは崩れています。
 おもちゃ花火(玩具煙火)は、どのくらい保存できるのかはっきりしたデーターはありません。それは、保存の状態によってあまりにも大差があるからです。
 まず、その年に買った花火は雨に濡れたり、水に漬けたりしない限り大丈夫だと思います。問題は、昨年より前に買った花火ですが、保存状態により変わってきます。当然ながら、湿気の多いところに置いてあったものは少し問題があると思います。
 私たち業者でも昔から在庫の関係で1年前に作ったものを流通させてきました。少量多品種ということで3年に一度作るものもあります。当然5年以上先に消費されることを前提に考えています。現に10年前の「ドラゴン」に火を着けてみましたが、数%金属粉の咲きが悪かったものの余り大差はありませんでした。当然湿気の少ない倉庫に終って置いたものです。線香花火にしても昔のものはやはりいいですよ。たぶん一般の方は入手できないでしょうが。
 「去年の花火だから捨ててしまいましょう。」という声をよく聞きますが、火薬ですのでやたらに捨てない方が良いと思います。普通の場合去年のものでしたら大丈夫だと思います。見分け方ははっきりしていませんが、パイプが柔らかくなっているものやふやけているもの、泥薬ではがれ落ちている物は避けた方がいいでしょう。
 お買いになるときは、余り買いすぎないようにして、1回で消費できるだけにしましょう。また、一番いいのはその年に買ったものはそのシーズン中に遊んでしまいましょう。季節はずれの花火もおつなものですよ。「冬の花火」いいじゃないですか。雪の上での花火はとてもきれいですよ。どうしても余ったら、湿気の少ない暗い場所で、しかも火の気のないところに終いましょう。その終った箱にはお菓子などに入っている乾燥剤や酸化防止剤などを入れておくと良いと思います。但し、余り多くの火薬量を一般家庭では保管できませんのでせいぜい5千円のセットぐらいでしょう。
 


ホームページに戻ります。