1、打上げ玉の種類について
 夜の打上げ花火は大きく分けて2種類に分かれます。一つは菊の花のように球状に開く割物、もう一つは上空で玉が二つに開き中から星や小玉を放出するぽか物です。


    割物

 割物玉は日本独自に発達したかたちで、皆さまにはもうお馴染みの玉でしょう。右記の構造図はこのタイプの基本の構造です。打ち上がると同時に導火線に火が入り、導火線の延時時間で玉の破裂する時間を制御します。導火線の火が割薬に到着すると破裂してその火が星に引火してきれいな色を出します。
 一重の球状に開く物に菊物ボタン物があります。菊物は破裂した中心から火ぼこりを引いて行き、先の方で色が変化する物で、ボタン物は中心から色星が尾を引かずに飛んでいく物です。菊物でほしの燃える早さが遅い物が冠菊といわれる物です。
 開いたときに球状が二重になるものを芯物といいます。(右の写真が芯物です)構造は下記の図の中にもう一つ星の列がある物です。また、三重に重なっている物を八重芯、四重に重なっている物を三重芯といいます。


   ポカ物

 ポカ玉は、運動会や、お祭りの合図に使われている昼玉と同じ構造で、玉の中に、いろんな部品を詰め込んで、上空で玉を開かせて、ただ部品を放出する玉です。小さい玉を入れたものは小花、不規則に飛んでいくものは、一ヶ所から左右に星が飛ぶものを分砲、「ピー」と音を出して銀色の火の粉を吹き空中に舞っているものを銀笛、などいろいろあります。創作物については、作者の付けた名前なのでよく分かりません。


   型物

 最近みなさんが気になっている物に型物があります。
 型物は、割玉の花火の変形で、あるイメージを前提に空に具体的な形を描く花火です。花火のコンクールでは「創造花火」としてよく紹介されています。例えば「UFO」、「土星」、「蝶々」、「麦わら帽子」、「ひまわり」、といった玉の名前を聞けば「なるほど!」と分かるものです。
 しかし、この型物は鑑賞する方向や玉の開く向きが違うとそのように見えないということがあり、「あれ?」ということがしばしばあります。なるべくイメージ通り開かせるために玉に尻尾を付けたり、長いパイプを付けたりして玉の方向性を高めることもしています。
 最近しばしば登場します、「文字花火」や「絵花火」は特に鑑賞している方向が悪いと全然見えないことがあります。テレビの放映で失敗した例もありますが、文字はカタカナぐらいでしたらはっきり分かります。


2,星の色について
 星の色は基本的に7種類有りまして、紅、緑、青、黄色、紫、銀、金ですが、最近この他にピンクや黄緑色といった色もでてきています。この色星の配合剤の中にマグネシウムを入れたものをダリヤといいます。とても光沢があり明るい星です。
星が黄色に点滅するものを黄キラ、紅に点滅するものを紅キラ、緑色に点滅するものを緑キラといいます。

 下記のものを含んだ化合物の炎色反応です。

紅色=ストロンチウム
緑色=バリウム
青色=銅
黄色=ナトリウム
紫色=銅とストロンチウムの混合
銀色=アルミニウム
金色(錦)=チタン合金
ピンク=銅とストロンチウムの混合


3、玉の開く大きさについて
 菊型の花火の開く大きさはだいたい下記に示した通りです。しかし、この数値もそれぞれの花火屋さんによって違います。これがまたおもしろいところで、よく競技会など開かれますが、色や形を抜きにしてみていると輪郭の大きさがだいぶ違っています。それは玉の割薬と玉殻の厚さが微妙に違っているからです。皆それぞれの花火屋さんが試行錯誤の末決めたもので統一された規格が有るわけではないのです。
 玉殻の厚さは玉に貼る紙の枚数で決まります。一般的には、玉の号数の6倍、例えば5号玉だと30枚ということになります。しかし、そんなに貼る方はあまりないようです。だいたい24枚貼るのがふつうになってきました。
 玉の割薬は、大きい玉ほど弱い火薬にしています。玉に入る火薬の量は、大きな玉ほど多く入るし、大きな玉ほど玉自体の強度を強くするため玉殻の厚みを厚くするので、そのバランスから火薬を弱くするわけです。

打上げ玉(割物)の参考データ「多少誤差を含んでいます。
(煙火業者や玉の種類によって違います。)」
玉の号数3号4号5号6号7号8号10号20号30号
玉の大きさ(cm) 8.5 11.5 14.2 16.7 20.5 23.5 27.0 58.5 86.0
玉の重量(kg) 0.2 0.5 1.1 2.1 3.2 5.0 8.8 60.0 250.0
開発高度(m)120150180210250280 310 450 580
開発直径(m)100120180210240280 320 480 550

 


 4、打ち上げ玉の価格

 「打ち上げ玉は高い」とよく言われますが、玉の価格を皆さん知っていますか。地域や打ち上げ業者さんによって多少価格が違いますが、参考までにご紹介いたしましょう。あくまでも参考価格です。
 下記の表が参考価格表です。芯入りのものや曲導付き(花火が上がっていくときに尾を引いたり、小さい花を咲かせながら上がっていく仕掛け)のものは少し割高となります。また、この価格表には打ち上げ手数料といった諸経費は含まれていません。
   スターマインや、早打ち、電気点火等は、別途金額が掛かります。「スターマイン」や「文字の仕掛け花火」は1基で価格が決まります。特注品は、特に手間がかかるので価格応談といったところでしょう。でも、花火屋さんはいい人ばかりなので、お客さんが喜んでくれるならお値打ちにやってくれますよ。
 花火は、手づくりの芸術品でひとつひとつ作るのは大変です。多くの人が見ることができる花火は、私は安い商品だと思いますよ。
 下記の表は上段が夜見る花火、下段が昼用の音だけの花火と考えてください。

 

煙火玉価格表(参考価格/税込み)
号 数  2号玉 3号玉 4号玉 5号玉 6号玉 8号玉10号玉15号玉20号玉
割物、ポカ物2,7503,9006,50012,00018,50038,00061,000310,000645,000
合図(昼もの)2,2502,9504,9508,70013,00027,50051,000
芯入り割物価格応談14,80022,80044,60072,000380,000740,000
  

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