1、型物の玉について
 

 前回までは、日本の花火の基本となる割物の玉についてご説明いたしましたが、今回は最近皆様にうけている型物についてご説明いたします。
 型物は、割玉の花火の変形で、あるイメージを前提に空に具体的な形を描く花火です。花火のコンクールでは「創造花火」としてよく紹介されています。例えば「UFO」、「土星」、「蝶々」、「麦わら帽子」、「ひまわり」、といった玉の名前を聞けば「なるほど!」と分かるものです。
 しかし、この型物は鑑賞する方向や玉の開く向きが違うとそのように見えないということがあり、「あれ?」ということがしばしばあります。なるべくイメージ通り開かせるために玉に尻尾を付けたり、長いパイプを付けたりして玉の方向性を高めることもしています。
 最近しばしば登場します、「文字花火」や「絵花火」は特に鑑賞している方向が悪いと全然見えないことがあります。テレビの放映で失敗した例もありますが、文字はカタカナぐらいでしたらはっきり分かります。複雑なものなどはあまりむいていません。
 今回はこの型物の代表的な「土星」と「魚の絵」の構造を説明いたします。


1ー1「土星」

 

 

 

 簡単にいえば、芯物の割り玉の変形です。
 割物の場合は、親星を玉殻全体に並べますが、「土星」のリングは親星を左の図のように一列だけ並べます。星のないところは、綿の実をしっかり引き詰めて星が移動しないように固定します。花火屋さんによっては、親星を2列に並べる方もいます。
星の種類は、牡丹系の星(尾を引いていかないもの)を使うのが一般的です。
 右の写真は、「土星」が開いたときのものですが、下右の写真も同じ「土星」の開いたものです。しかし方向が違うので、「土星」といわれても分からないと思います。これは、「ひまわり」といってもいいようです。実際「ひまわり」とほとんど同じ構造でただ半球分、星が詰まってないので「ひまわりの花」に見えるわけです。       

     

   
 

 芯物の要領で芯星を球形に積めます。
 基本的に、芯物ですが、親星と芯星の関係(バランス)が問題となります。星の数が少ないため、あまり小さな親星を使うと貧弱に見えたりしますので、大きく見せるために少し大きめの星を使ったり、いろいろ考えていて、単なる割物の星をケチった物ではありません。

   

  

 

     


 

1−2、「魚」の絵花火

 絵や文字の花火は、片方の玉殻に「空に描きたい形」に星を並べます。
 左の図は、「魚」の形に並べたところです。構造的には片方の玉殻にこのような絵を星で並べたものを、もう片方の玉殻には割火薬を積めます。
 絵や文字は平面的に放出されますので、鑑賞する方向によっては全く見えない可能性があります。例えば、パイ生地の上にアンパンマンをあめ玉を使って描きます。それを「パイ投げ」の要領で見てる人に投げます。投げられた人はあめ玉がアンパンマンのように見えて飛んでくるはずです。横から見ている人には何の形か分からないと思います。打ち上げ玉ではこれが放射状に広がるので、もっと大きくなります。これが形ものの中の絵花火になります。
 あまり花火大会にはむかない種類です。事前に説明をされてから打ち上げてもらうことが必要です。
 主に5号玉以上の物でないとしっかり分からないし、文字といってもカタカナ程度、絵でもシルエットで分かる簡単な物が一般的です。

 
 

 


 

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